みなさま いかがお過ごしでしょうか。
私は、フランス東部アルザス地方のコルマールに来ています。
ジブリの映画「ハウルの動く城」の舞台になったとも言われる街で、
街自体は小さいのですが、とても美しく、メルヘンチックな街並みが広がっています。
一日中、観光客で大賑わいです📷
さて、いよいよ新アルバムのレコーディングが始まります。
前回はコロナ禍の真っ只中、フランスでも第2次ロックダウンの時期に、
奇跡的にレコーディングを行ったのが懐かしくもありますが、
早くも次のCDの録音をすることになりました。
このコルマールには、
チェンバロ奏者の間で「コルマール・ルッカース」と呼ばれている
誉れ高いオリジナルのルッカース・チェンバロ(1624年製作)が
ウンターリンデン美術館に所蔵されています。
去年の6月に弾かせてもらった時に、
気品のある音色とチェンバロのボディから共鳴する響きに圧倒されて、
その場で「レコーディングをさせてもらえますか?」と
後先考えずに管理担当者に尋ねてしまいました 😅
その後、正式に許可をもらい日程を決めて、準備を重ねてきました。
今回も、アーティスティック・ディレクター(芸術監督)は
友人でもあるオリヴィエ・フォルタンさんに務めてもらい、
サウンド・エンジニア(音響技師)も前回と同じ顔ぶれです。
先だって先月3月にはオリヴィエさんのブルゴーニュの自宅で、
3日間、録音にあたってどういうアプローチをするか決めていきました。
延べ15時間以上に渡って、ひとつひとつの表現、音の長さやタッチなど
ミリ単位、0.1秒単位の細かさで考えていきます。
(もちろんそういう風に数学的に考えるのではないのですが、
肌感覚でそれくらいの細かさで捉えていきます・・・)
「この弾き方はコンサートでは100点だけど、録音の時はここの○○に気をつけて」と
的確にアドヴァイスをもらいます。
(○○は、「テンポの揺らし方」「タッチ」「アーティキュレーション」「装飾音の入れ方」「任意の装飾の付け方」「オーバーレガート」「フレージング」「強弱」「音をどこまで延ばすか」「付点はどこまで延ばすか」などなど!)
余りに事細かなアプローチに、さすがの私も打ちひしがれそうにもなりましたが、
作品を更に(更に!)深く追求して読み込む良い機会になりました。
それから約1ヶ月、
時には1小節に数時間かけて練習をして、
10秒ずつくらい録音をして、納得がいく表現が出来ているかを確認をして
策を巡らせ入念に最後の仕上げをしてきました。
昨日は一日中、美術館で最後の練習をさせてもらいましたが、
開館日なので、(今までにもよくあることですが)動物園状態・・・
通る人から「ブラヴォー!」「メルシー」などと声を掛けられながら
(中にはそっと椅子の上にお札を置いて行かれる人まで現れ・・・
対処に困ったので美術館に寄付しました)
向こう数日間お世話になる楽器と対話を続けました♫
調律/メンテナンス担当のクリストファー・クラーク氏とディレクターはブルゴーニュから
エンジニアもパリから来て、
今夜から録音が始まります!
(録音は美術館閉館後の午後8時~午前2時までです😴)
400年前に製作されたチェンバロの音色が
13~14世紀に建築された歴史ある建物の回廊で響き渡るのを味わいながら、
音楽に没頭して、寄り添って
自分らしい演奏ができますようにと願っています。
どうぞレコーディング・レポートをお楽しみに!
コルマールより
濱田あや
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