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スイスでのレコーディング(続編)【マンスリー・ニュースレター Vol.107】

更新日:2020年12月24日


さて、スイス・レコーディングのお話の続きです♪

(長文です)


当初の録音予定は5月でしたが、コロナ第1波でやむなくキャンセル。

博物館も再オープンし、スイス国境が開放された7月、

すぐさま、また一から計画を練り始めました。

関係者のスケジュールを調整して、

新たなレコーディングの日を決定し、

前回と同じように手筈を整えて行きます。


しかし、9月中旬から欧州の感染が急拡大し、

各国の規制が強化され、

刻々と変わる状況に、ハラハラしながらの日が続きました。

私もそうですが、フランスから来るスタッフさんも、

無事にスイスに入国できるのかすら危うい状況。


毎日、

シェンゲン圏のビザ情報を提供するウェブサイト「シェンゲン・ビザ・インフォ」や

各国の渡航規制をとりまとめているEU公式サイト「Re-OPEN EU」、

さらに、「スイス連邦公衆衛生局」や「スイス連邦移民局」(仏語)

「スイス公共放送」(独語)のサイトをチェックし、

スイス大使館にも毎週電話をして、確認を続けました。

この時点で何十回と「今回もキャンセルになるか・・・」と覚悟をしていました。


そして、大打撃な10月30日からのフランス・都市封鎖(ロックダウン)、

11月上旬からはスイス仏語圏の文化施設もクローズすることになり、

フランス・チームは外出すら許されない、

会場の博物館も閉まってしまうとは、

もはや八方ふさがり 😣

「99%は無理だね・・・」とスタッフさんも他の予定を入れ始めたりして・・・。



「博物館のマネージャーや、楽器の責任者と協議をして

録音を決行することにしました!

(でも、泊まる予定の所はクローズになったのでどうしますか?)」

と奇跡のような連絡があったのは、出発日の前夜である11月5日。

バタバタと、当面の宿泊地をおさえて、

チューリッヒ行きの直行便(乗客は私を含めて7人!)に乗って

やって来ました✈



録音の時は念のため、

現地で、音の細かな違いなどをチェックする場合に備えて

楽譜も

ファクシミリ譜、ヘンレ版、べーレンライター版、ウィーン原典版の

各版を持ち込むのですが、それだけでもかなりの重量。

ジャケット写真・ビデオ撮影のためのドレス3着と靴4足、

そして今回は、レストランもクローズしているので、

食料も出来るだけ詰め込み、もの凄い大荷物となりました💦


 

到着しただけで、すでに達成感が溢れましたが、

急に決まっただけあって、それから怒濤のようにレコード会社から連絡攻めにあい・・・

膨大な契約書の確認、レコーディングのタイムスケジュール決め、

プロモーション・ビデオのインタビュー用の質問事項、

カメラマンとの打ち合わせ、

スタッフ用のホテルの手配・・・などなど雑事に追われヘトヘトです。



でも、閉館している博物館で、録音が始まるまでの数日間、

朝から晩まで思う存分練習させていただき、

名器の17世紀ルッカース・チェンバロに慣れ親しむことが出来ました。

レコーディングに向けて、これまで綿密に練習を重ねてきましたが、

やはり実際にこのルッカース・チェンバロを弾いてみると、

違うアプローチの方がいいかな・・・? テンポも少し変えてみよう・・・と

様々なアイデアが沸いてきます。




毎朝、

閉まっている正面玄関の

重い扉を開けてもらいます♪


そして誰もいない

館内へと・・・





練習風景をちらりとどうぞ👇♪




そうしているうちに、「特例外出証明書」を携えて、

フランスからスタッフさんも無事到着。

電車や飛行機での移動は、途中で警察に止められる可能性が高いということで

みんな自家用車でスイス入りです。

会った瞬間、お互い「ミラクル(奇跡)だね~!!」と。

もはや(誰と)会っても、ビズやハグはもちろんのこと、

握手すら出来ないこの環境・・・さすがに寂しい限りです。

でも、やっと、レコーディングが始まるという、

1週間前には思いもよらなかった現実が、目の前にやって来ました☺



 


録音は11月12日~14日の3日間。

当初は博物館が閉館後、午後6時からスタート、

夜中1時~2時くらいに終了という予定でしたが、

なんたって、現在のコロナ禍、博物館は終日閉まっているので、

早めに午後3時頃から始めることが出来ました。


今年は例年に比べて、11月にしては寒さが厳しくなかったそうですが、

夕方以降は博物館の中もかなり寒くなり、

私は「手が凍えそうだよ~❄」と

カイロ、靴用カイロをしのばせて、チョコレートを頬張りながら

乗り切ることに。



休憩時間用に、

ナッツバー、どら焼き、ようかん、お饅頭などお腹持ちの良さそうなモノを

たくさん持っていったのですが、

休憩にカフェテリアに降りていくと、

博物館の方が、飲み物、チーズ、フルーツ、マフィン、クラッカー、チョコレートなど

ずらりと用意して下さっていました🍎🥤



この状況下で

私たちを歓待していただいて

本当に有り難い限りです。


私を除いては、

博物館の方々も録音スタッフも、

仏語ネイティブなので、

皆で和気あいあいと

リラックスした時間が持てて、

良かったです☕





さて、最終日(3日目)は、朝から

ヘアメイク、写真撮影、インタビュー撮り、ビデオ撮影、録音と

超ハードスケジュールとなりました。

私もベルトコンベアに乗ったように、一つ終わると次に移動していきます。


もしかしてビデオ撮影の時は、顔がテカりまくってたのでは・・・🙄と

今となって心配になっていますが・・・



(photo © Marisa V Baschiera)


そして夕方からは再び録音。

速く弾く箇所が次々と出てくるのですが、

すっかりハイになっているのか、

どんどんバリバリと弾いていきました。


立ち会ってくださっていた調律師さんには

「すごい持久力!何かスポーツでもやってるんですか??」と

不思議がられましたが・・・

いつでも体力勝負ですね💪



ともかく、午後10時頃、やっと最後のテイクが終わり、

スピーカー越しに、スタッフさんからの拍手👏👏と

「C'est terminé !!!(終わったよ~!)」と声が聞こえました🤩


初めてヌーシャテルを訪れた日から2年余り。

長い長い旅の終わりです🥂 


 

数日後、博物館に挨拶に行きましたが、

とても喜んでいらして、本当にホッとしました。

「もう何度もキャンセルになるかと思ってたんですよ」と言うと、

「いやぁ、実は、ぎりぎりまで中止にするかどうか悩んだんだけど、

君が前向きなので、なんとかなるかな・・・と思って。

でも、意を決して実行して、本当に良かった!」と仰ってくださいました。



そして後日、博物館のフェイスブック・ページ / インスタグラムに

記事と、スライドショーのビデオが載っていました😮🙇‍♀️



(▶ボタンをクリックすると、スライドショー+音楽が始まります。

アカウントをお持ちの方は、宜しければ ♡もお願い致します☺

万一ご覧になられない場合は、スクロールして下の動画からどうぞ🎥)



(記事はフランス語なので簡単に訳しました)


🎼音楽のひととき 濱田あやさんと


コロナ禍、マスク義務化の中でも、

NY在住日本人のチェンバロ名演奏家、濱田あやさんのCD録音が無事に敢行!

比類無き素晴らしい音色で、世界的に有名なルッカースのチェンバロが、

改めて注目の的となりました。


CDはフランスのアパルテ・レーベルから2021年に発売予定。

J.S. バッハの数々の楽曲が収録されます。


📷3枚目の写真 左より

ピエール=ローラン・へスラー(調律師)

オリヴィエ・フォルタン(アーティスティック・ディレクタ-)

濱田あや(チェンバロ奏者)

ニコラ・バルトロメ(アパルテ社ディレクター)

イニャス・オーヴィル氏(サウンド・エンジニア)

 

(上の記事/動画と同内容です。

アカウントをお持ちの方は、宜しければ👍もお願い致します☺)



また来夏には、スイスでのリサイタルも決まっています!

その頃は、旅が容易に出来る状況であるといいのですが、どうなることでしょう。




次号は、スイスでの休暇編(素敵な景色🗻)をお届けする予定です☆




みなさまもくれぐれもお身体お大切にお過ごし下さい。



濱田あや




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