みなさまもご自宅で過ごされる時間が多くなられたと思います。
お元気でお過ごしでしょうか。
私は、自宅待機令が出てからは4週間目に入りました。
通りは普段はひっそりとしていて、時折サイレンの音が鳴り響きます。
家から数ブロック先のリンカーン・センター界隈。
メトロポリタン歌劇場やニューヨーク・フィルの本拠地がありますが、
秋まで休演が決まっています。
最初は不自由に思えたことも、かなり慣れてきて、
行動範囲は
週に一度買い物に出かけ、時々近所を散歩するだけです。
多くのレジには囲いが出来ていて、
小さな隙間から商品やお金のやりとりをするようになりましたし、
買い物から帰ってきたら、手袋をゴミ箱に捨てて
買い物袋、食料品やパーケージ全てを除菌シートで拭き
(小包や郵便物も同じように除菌しますし、
外に着ていった服はそのまま洗濯機行きです)
そんな非日常な、SF映画の出来事のようなことが、当たり前になりました。
いつもは、知らない人同士でも、道端やお店で目が合えば笑みを交わし、
気軽に話しあったりするものなのですが、
みな無口で、散歩や買い物を黙々とするだけです。
ニューヨーク州内だけでも連日800人ほどの方が亡くなられている
(トータルでは1万人近く)現実に、やり場のない悲しみが重くのしかかります。
唯一、街に音が溢れるのは、毎晩午後7時。
皆一斉に窓を開けて、医療従事者に感謝を表すために、
拍手をして、声援を送ります。
フライパンを叩いたり、クラクションを鳴らす人もいて、
歓声が続く2~3分は、他人の存在を感じるひとときとなっています。
今日はお天気が良かったので、久しぶりにお散歩に出かけました(セントラル・パーク)。
「ゴルドベルク変奏曲@ホーム」をはじめてから2週間、
もうすぐ折り返し地点です!
母校のジュリアード音楽院や「Music Before 1800」 のSNSでも取り上げられました。
外出禁止になり、最初は感染のあまりの速さや深刻さに恐怖を感じ、
気持ちを落ち着けるためにバッハを弾いていました。
そのうちに、同じように自宅に籠もっている人たち、
(私もそうですが)人と直接関わることが全くなくなってしまった人たちに
何か届けることができないだろうか、
繋がることはできないだろうかと考えて、
ささやかながら、この「ゴルドベルク変奏曲@ホーム」シリーズを始めることにしました。
オンライン上での弾き合い会と、私の演奏の動画配信です。
30変奏あるので、一日1変奏を弾いていくことによって、
毎日時の流れを感じて、1ヶ月間生きていく活力にしていければ、という
自分のためでもありました。
毎日、決まった時間に動画配信をしているのですが、
「あやさんと共にバッハの曲を毎日味わう喜びに感謝!」
「毎日素晴らしい贈り物をありがとうございます」
「朝起きるとアップされていて、優雅な気持ちで一日が始められます」
「心身共に浄化されるようで落ち着きます」
「最後まで楽しみです!」と
連日メッセージをたくさんいただき、私が一番力をもらっているようです。
「ツイッターは今まで嫌だったけど、
これを見るためにアカウントを作ってフォローしました!」
という方もいらっしゃいました。有り難いです。
つい先ほども、全く面識のないフランスのフェスティバルの主催者の方から
「毎日動画を見ています。
是非、今度我がフェスティバルでゴルドベルク変奏曲を演奏して下さい!」と
ご連絡をいただきました。びっくりです!
コンサートが出来るまでに世界が落ち着くのはいつのことでしょうか・・・。
ともあれ、お陰で、外出禁止令が出た直後の1週間とは比べものにならないほど、
精神的に支えられ充実してきました。
朝起きて調律、動画撮影、午後はオンラインレッスンとオンラインミーティング、
そして夜は練習と次の日の準備などと
ずっと家に籠もりながら、とても忙しくなりました(!)
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後半は、テクニック的にも難易度の高い曲が怒濤のように続きますが、
健康で、最後まで乗り切りたいと思っています。
5月1日に終了予定ですが、その頃には少しでも状況が好転していることを願っています。
ファローして応援していただけると、とても嬉しいです。
みなさまも、緊張が走り不安が募る毎日と思いますが、
どうかお身体お大切にお過ごし下さい。
ニューヨークより
濱田あや
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