暑い夏、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は、ロワイヨモン修道院での
フランス・バロック・オペラのプロジェクト(クリストフ・ルセ氏指揮)を終え、
パリに戻ってきました。
ロワイヨモンはパリ北駅から各駅停車に乗って北へ45分ほどの所の、
ヴァル=ドワーズ県にあります。
周りには牛がうろうろしている、長閑で美しい場所で、
素晴らしい環境の中での夢のような10日間。
お話を頂いた時から、ずっと楽しみにしてきましたが、
期待を遥かに上回る、かけがえのない貴重な経験でした♪
↓ご覧のとおり、魅惑的な所です。
一歩も敷地から出ることもなく、一度もお財布を開けることもなく、
(勿論テレビもなく)、
フランス・バロック・オペラの傑作である、
リュリの「アルミード」とラモーの「イポリートとアリシー」のコンサートに向け、
指揮者のクリストフ・ルセ氏と、もう一人のフランス人チェンバロ奏者、
350人の応募者の中からオーディションで選ばれた16人の歌手
(フランス人12人、ベルギー人2人、スペイン、オーストラリア人各1人)たちと、
生活を共にしていました。
フランス語圏の人が圧倒的多数のため、四六時中フランス語漬けです…。
毎日、午前中3時間(午前10時~午後1時)、
午後5時間(午後2時~午後7時)のセッションがあり、
私は、次から次へとレシタティフ&エール(アリア)を弾き続けていきます。
(期間中丸1日は、バロック・ダンスの振り付けのセッションに充てられました。)
しかもその後は、午後7時から2時間に渡って、屋外でのヨガのクラスまで行われ、
とてもハードなスケジュールでしたが、
ランチタイムやディナーでは、皆で美味しい食事とワインを楽しみ、
リュリとラモーの音楽だけに集中できる、とても贅沢な10日間でした。
何より、セッション中は常に、クリストフ・ルセ氏から歌手の人たちに、
歌詞の理解、当時の発音、朗誦法、抑揚の付け方、装飾音、
フレージング、歌唱表現、バロック・ジェスチャーなど
多岐にわたる分野に関して、とことんまでこだわり抜いた指導が行われていきます。
それら全てが、
通奏低音に限らず、チェンバロ・ソロでフランス音楽を演奏する際にも、
重要な手掛かりとなることばかり!
私にとっても数年分もの勉強をさせて頂いたような気がします。
また時には、「この言葉に相応しい表現を」
「このシーンを表すには、こういうタッチで」と
通奏低音パートを目の前で弾いてみせて下さり、
また私の質問や疑問点にも、いつも丁寧に答えて下さり、
独特の表現に溢れたフレンチ・オペラへの理解が、更に深まる、
嬉しく有難い時間の連続でした。
感謝の念が絶えない一方で、
まだまだ勉強することはたくさんあるな…!と
身が引き締まる思いです。
〈下の写真〉
コンサートの後、
(左)達成感と解放感に溢れた笑顔の、良き仲間たちです。
(右)クリストフ・ルセ氏と、
ロワイヨモン財団・声楽プログラムのアーティスティック・ディレクター、
エドゥアール・フレ・コール=フーティ氏と共に。
このお2人から、2年間の準備期間を経て、今回の素晴らしい企画が生まれました。
フランスはテロが相次ぎ、不穏な空気が漂っておりますが、
それでも自分の好きなことを思い切り邁進できる環境が与えられ、有難い限りです。
みなさまもどうぞお身体お大事にお過ごしください。
パリより
濱田あや
🚲 おまけのコーナー 🚲
実は私は自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」の大ファンなのですが、
今年のツールの最終日は、
シャンティ~ロワイヨモン前~パリの凱旋門 というルートでした。
コンサートの直前だったのですが、仲間達が、
「せっかくなんだから、Aya をリハーサルから30分間解放してあげようよ~」
と言ってくれて、
レースが通過するのを見に行くことができました ☺☺☺ 大感動です♪